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【千葉発】千葉高、なぜ中高一貫に?元教員から意見「エリート校化に反対」
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千葉県教委は昨年11月、「千葉高の中高一貫化」を含む県立高校再編計画の「第2期実施プログラム案」を発表した。これについて、千葉高で28年間、物理、地学の教員を務めた稲葉正氏(81)から「中高一貫化には反対だ」との投書が、毎日新聞千葉支局に届いた。「高校は学問の面白さを知るところで、進学実績にとらわれるべきではない」という稲葉氏の主張に対し、県教委に「なぜ千葉高を中高一貫校にするのか」について文章を寄せてもらった。
◇差別ない学問の伝統崩す−−元千葉高教員・稲葉正氏(81)
千葉高を中高一貫制高校にするという案が報道されている。よほど英才が好きな方の発案と思われる。私はそういう制度の学校が、試しにどこかに作られることに特別反対するつもりはない。しかし、千葉高をそのような「エリート高」ないしは「進学専門高校」に変えることには反対だ。
千葉高は何人をも差別することなく門戸を開いてきた普通の高校だ。志を立てて多少の努力をすれば誰でも入れる。男女の差別もない。成績によるクラス分けをやめさせた歴史もある。能力差別のにおいがする理数科を設けることも拒否してきた。
かつて進学関係の大手出版社である旺文社が千葉高に「進学指導学習の秘訣」を問い合わせてきたことがある。千葉高学習指導部いわく「本校では進学指導学習ということをやったことがありません」。
その心は「生徒は学問のおもしろさを感じて、めいめいの意欲によって進学を成し遂げていくのだ」ということだ。そのためには教員に十分な時間と自由が与えられ、授業の準備に工夫を積んで、感銘の深い授業をしなければならない。このような骨折りは教師の本分であり、それぞれの学校でいつも追求されることだ。
重ねて言うが、千葉高はエリート校でなくていい。少人数制の中高一貫校では、小学校から入学試験をパスしてくるために大変な無理があり、受験競争の低年齢化を招き、それぞれの年齢に求められる健全な生活が損なわれる恐れが多分にある。
かつて千葉高でも教育の真価が問われた危機があった。1969年から70年春、全国的に吹き荒れた学校紛争だ。千葉高も近隣の大学や高校から働き掛けが盛んで「教師は敵」という論が圧倒的な勢いだった。県警本部長が直接指揮する数百人の機動隊と、ほとんど全校の千葉高生が、当時の故鈴木一郎校長をはじめとする教職員を間に挟んで激しくもみあう事態もあった。
紛争が終わりになったのは卒業式だった。卒業式を「粉砕せよ」と叫んでスクラムを組み数隊が突入してきた。その一団を食い止め、私は対面した先頭のH君に、「君たちは我々教師を本当に敵だと思うのか?」と呼び掛けた。その時、彼の目から涙があふれたのを見て、「これは確かに我々の生徒だ」と感じた。
紛争のほぼ1年間「授業放棄」を叫ぶ生徒に対して、生徒が1人でも残っていれば1対1でも授業を行うという教員が現れた。「授業死守」という方針が、紛争を終息させた最大の原動力になった。
このような学問を間に挟んだ生徒と教員の心のつながりが千葉高のささやかな伝統だ。疑問の残る新制度をもって置き換えることは将来に禍根を残し、大きな損失になる。現体制を崩すことのないよう願いたい。
◇県教委、総合的に検討し提案−−佐伯明・県立学校改革推進課長(53)
近年の高等学校を取り巻く社会環境は、価値観の多様化、国際化・高度情報化や少子化・技術革新など著しく変化してきている。とりわけ、千葉県の中学校卒業者数は1989年をピークに減少に転じ、2012年にはピーク時の約56%まで大幅に減少すると見込まれている。
このような状況に対応するために、県教育委員会では、02年に「県立高等学校再編計画」を策定し、新しいタイプの学校づくり、学校の再編や学科の再構成などにより魅力ある高等学校づくりを推進している。
具体的な再編の中で特色ある学校の形態として、学年の区分がなく、生徒が自らの興味・関心に応じて科目を選択し履修できる単位制高校、生徒の多様な生活スタイルに応じて学習できる午前・午後・夜間の3部制で構成する3部制定時制高校、中学校と高校にわたる6年間で、計画的・継続的に学ぶことができる中高一貫教育校4校程度を設置することとしている。中高一貫教育校の設置は、多様な価値観を持つ県民や子供にとって、新たな学校選択のひとつとして、選択幅が拡大されることになる。
また、県教委では02年、学識経験者などによる「中高一貫教育研究会議」を設け、本県にふさわしい中高一貫教育の在り方について意見をいただいている。「広範囲から生徒が志願、入学できる県央部の交通利便地区に設置すべきだ」「多くの県民から信頼を得、期待されている既設校を選定すべきだ」などの意見を踏まえ、諸条件を総合的に検討の上、県立千葉高に、新たに県立中学校を併置し、2008年度に併設型中高一貫教育校とする案を11月に公表した。
県立千葉高における中高一貫教育は、生徒1人1人の個性を尊重し、生徒の能力伸長を図る教育活動が6年間にわたり一貫して展開されることとなる。このことにより生徒個々の学力や思考力、実践力をじっくりと育て、知徳体のバランスの取れた生徒を育成するとともに、生徒の夢の実現を目指している。さらに明日の千葉県を担い、国際社会においても活躍できる優れた人材の育成をも目指している。なお設置にあたっては、生徒の自主的精神を重んじる千葉高の伝統と実績が継承されるものと考えている。
また中学校への入学者選抜の実施については、受験競争の低年齢化を招くことがないように配慮し、学力検査を課さず、面接や作文などの方法が考えられるが、「入学者選抜方法等改善協議会」で検討し、具体的な方法等について定めたいと考えている。
今後も、引き続き中高一貫教育校の具体的な在り方について検討しながら、6年間にわたるゆとりと充実の中で、生徒1人1人の個性の尊重と能力の限りない伸長を図る中高一貫教育校を設置していきたい。
◇第2期実施プログラム案
千葉高に新たに中学校を併設して中高一貫とするほか、銚子商・銚子水産、柏北・柏西など12校を6校に統合することなど計19校の再編案が盛り込まれている。
県教委によると、千葉高に08年度から新たに併設される中学校は40人学級で2クラスを予定。県内全域から募集し、中学入学時は学力試験は行わず、作文や面接で選抜する方針。高校は学力試験による入学者も受け付ける。プログラム案の発表時、県教委は千葉高を中高一貫校とする理由について、「より高い学力をつけたいというニーズに応えられるようにしたい」とコメントしている。
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